ハーバード成人発達研究は78年間724人の男性を追跡して記録し続け、人生の幸福とは何かを解き明かそうとしています。
1938年から始まり、今でもそれは続けられています。724人のうち、約60人が今でも健在なのだそうです。
人生を幸せにするものとして、すぐに思いつく言葉は「金と名聲」ですが、この根気強い研究から明確にわかったことはそうではないようです。
私たちを健康で幸福にするものは「良い人間関係」に盡きるといいます。
そして、ここから得た3つの教訓が説明されています。
(1)孤獨は害である。身近な人たちの関係がよい人は健康で長生きする。
(2)親密でよい人間関係の蓄積が幸せで健康な老後をつくり出す。
(3)何かあったときに頼れる人間関係のある人は、脳の衰えが少ない。
私は學生時代にマズローの欲求5段階説を知り、最終的には自己実現の欲求が満たされると、自分は幸せになれるのだと思っていました。
しかし、この研究結果を見ると、第3段階の社會的欲求(帰屬欲求)や第4段階の尊厳欲求(承認欲求)を満たすことが幸せにつながるのかなと感じました。
ちなみに、マズローは晩年になって、5段階の欲求の上にもう一つの段階があると発表したそうです。
それは「自己超越」という段階です。
「目的の遂行?達成を純粋に求める」というもので、見返りも求めず、自我を忘れて目的のみに沒頭し、何かの課題や使命のために貢獻している狀態だといいます。
さて、仕事上で発生する問題の大部分は「人間関係」だと言われることがあります。お客様との関係、上司と部下の関係、同僚との関係など、人間関係がうまくいかない
とストレスが溜まり、時には身體を壊したり、精神を病んだりします。人は一生でどれくらいの時間を仕事に費やすのか計算してみました。
まず毎日寢ている時間を平均7時間とすると、覚醒して行動しているのは17時間/日と考え、×365日×平均壽命80歳として、合計時間は、49萬6400時間です。
次に毎日仕事をしている時間は、通勤時間や殘業なども含めて平均10時間と考え、毎月22.4日働いて12カ月で268.8日、22歳から65歳までの43年間
を働くとすると、合計時間は11萬5584時間となります。
ざっくりした試算ではありますが、平均壽命80年の寢ている時間を除く人生において、仕事をしている時間の比率は23.3%です。
(ワーカーホリックの狀態でも35%くらいと推測されます)思ったよりも少ない、、、かもしれませんね。
その反面、人生で2割強しか時間を割いていない仕事に対して、私たちは精神的にかなり大きなウエイトをかけているような気がします。
人生を幸福にするために職場の人間関係を良好にすること。それはとても重要なことかもしれません。
製造現場や物流現場においても、孤獨感や疎外感を感じたり、お互いに頼れる人間関係が構築されていなかったりすると、
事故、不良、納期遅れなど、さまざまな問題の発生につながります。現場の人間関係を良好にするためには、會社理念の明確化や適正な人事評価
制度の構築、手厚い福利厚生など、いろいろな要素が絡んでくると思います。
使い古された言葉かもしれませんが、これは「リーダーシップ」と「チームワーク」の2つのキーワードに集約されるような気がしています。
人生を幸せにする現場づくりのために、私たちはどこにお金や時間や労力を投資するべきでしょうか?
ハーバード成人発達研究によれば、良好な人間関係のある現場づくりです。その中心をつかさどるのは、管理監督者であることは言うまでもありません。
トヨタでは、管理監督者の必要條件は大きく5つあると教えています。
(1)仕事の知識
(2)教える技能
(3)人を扱う技能
(4)カイゼンの技能
(5)職責の知識
どれも現場の「リーダーシップ」と「チームワーク」のために重要な條件です。
現場カイゼン塾では、これら一つひとつを丁寧に説明し、中國の現場ではどうなのか、またどうあるべきなのかをグループでディスカッションします。
同じ職場の見慣れた顔ぶれではなく、それぞれ異なる企業の人たちがお互いの経験を話し合うことで視野が広がり、管理監督者としての本質が見えてくると
思います。時には職場の人間関係で悩み、また時には人間関係に助けられたことと思います。
御社の現場の人たちの人生を幸せにするための投資先として、この現場カイゼン塾を検討いただけたら、とても嬉しいです。